転職市場の"市況"って注目した方がいいの?
キャリアアドバイザーの仕事をしていると、転職を考える友人からよく聞かれることがあります。
「今の転職市場の市況ってどう?」
その時々の転職をめぐる「市場」の動きを気にする人が少なくないんですね。
なんならその回答次第で、今は転職を辞めておこうと決断する人もいる。
でも、ちょっと考えていただきたいんです。
例えば「愛知県内で転職を考える人がどれだけいるか」とか、「全国に求人募集がどれだけある」とか。
こうした情報が、転職するか否かを左右する根拠になり得るのか。
そもそも「転職市場」をどう捉えたらいいのかお話しします。
「市場」とは呼ぶものの…
まずみなさんに確認してもらいたいのは、「転職市場」は一般的に言う「市場」とは大きく異なるものだということです。
様々な製品が行き交う市場では、「そこで取引されるものが全て同質であること」「市場の参加者全員が十分な情報を持っていること」が重要な前提となっています。
一方で「転職市場」と呼ばれるものにおいては、会社も人材も同質でないですし、また、誰がどこで転職活動/採用活動をしているのか、どんな人がそこにいるのか、といった重要な情報を全て把握して動いているわけではない。
そうした前提もあって、個々の会社と転職者が出会う場面は、それぞれが全く異なるやり取りになります。
転職市場の「市況」の正体とは
株式や農/漁業の市場などでは「競り」の仕組みがありますよね。
「りんごが100個欲しい」「ひとつあたり○円で買う」
というように取引が進められていきます。
でも、人材をこのように数や価格で測ることはできません。
企業は出会った人の経験や能力を吟味して、採否を見定め、年収を提案します。
つまり、他の人がどこでどんな会社と出会って、どんな条件を提示されているかはあなたとは関係のない話なのです。
でも、転職市場の「市況」として示されるのは、そんな全く関係のない話の積み上げから見えてくる総合計の話。
参考程度にはなっても、転職者自身の動きや出会いに決定的な影響を与えるものではないと知ってください。
総合計で見たときに転職の動きが落ち込んでいても、あなたのつきたい仕事・業界も同様に落ち込んでいるとは限らないのです(当然、逆もまた然りです)。
あなたが耳にした「市況」の解像度をあげていくと、その先にあるのは一人ひとりのエピソードです。
そして、転職しようと動くあなたのエピソードもそこに唯一無二のものとして刻まれる。
あなたの経験、あなたの能力だからこそできる転職があります。
世間の雰囲気に流されず、冷静に転職にまつわる情報と向き合いながら、目の前の会社や仕事との出会いを大切にしてもらえたら。
ご自身の描くキャリアプランに基づいて、直実な準備と行動を心がけることが転職成功の秘訣です。
やっすー
株式会社名大社
キャリアアドバイザー
1990年名古屋市中川区生まれ、南山大学出身。
教育業界で事業運営・経営企画を経験した後、キャリアアドバイザーとして名大社に入社。
特技は、東海地方に数多ある会社の情報や、皆さんが知らないようなお仕事のこともめちゃくちゃ分かりやすく伝えることです!わからない業界のことなど、ぜひ聞いてください。