転職活動で落ちるのは適性検査がボロボロだから?【検査や試験の目的を知ることが転職成功の近道!】

画像2.png

終身雇用制度が不安定な現在、人生のステップアップの手段として転職を検討するのは当然の流れといっても良いでしょう。

新卒時には企業説明会や学校の求人サポートなど様々な支援がありますが、転職では自分だけで企業探しや試験対策を行う必要があります。その中で敬遠されがちなのが、適性検査です。専門知識やこれまでのキャリアで得たスキル・対応力などは 身についていても、適性検査については受ける機会も少なく、試験場で冷静さを欠き、選考に落ちてしまうこともありえます。

転職活動対策の一貫として、適性検査とはどのようなものなのか、対策は可能なのかを解説しましょう。 

適性検査とはどのような内容? その目的は?

画像3.png

適性検査とはどのようなテスト?

適性検査とは就職希望者が自社で働き、戦力となりえるかどうかを判断するため行われるテストです。適性検査は、短時間の面接だけでは把握しにくい性格傾向を把握するための性格検査と基礎学力、一般常識を問う時事問題、論理思考力を測る能力検査の2種類を合わせたテストです。

適性検査にはいくつかの方式があり、企業によって利用している方式は異なります。また合否判断に占めるウェイトも企業によって異なります。

適性検査実施の目的

適性検査を実施する目的は、新卒採用と中途採用で異なります。業務経験のない新卒採用の場合、入社して活躍できるかどうかのポテンシャルを測る目安として使われます。また入社希望者が多い場合、全員と面接することは難しいので次の選考へ進むための足切りとしても使われます。

一方中途採用の場合、業務スキルは職務経歴書から把握することができます。しかし、数年の社会人経験を経ての入社になるため、仕事への考え方や企業への姿勢などがある程度固まってしまっているケースもあります。入社後にうまく社風に合わせることができ、成長していけるかどうかの適性を把握することが適性検査の目的となります。また人物像を適性検査を通して社内で共有することができるので、配属先の受け入れ準備や将来のキャリア形成などにも利用されます。

適性検査の結果だけで落ちることもある?

転職の場合、戦力としての業務スキルが重視されます。新卒採用に比べると適性検査が合否判定に与える影響は低めなのが一般的です。

 ただ適性検査をどの程度合否判定の材料とするかは、企業によっても異なります。適性検査の回答率が低い、矛盾した回答が多いなどイレギュラーなテスト結果だと不採用とされる可能性も高くなります。

適性検査で失敗するよくある事例

画像4.png

全問回答できなかった

試験では平常心で実力を出し切ることが大切です。これまで入学試験や新卒時の採用試験などを経験してきていても、慣れるのは難しいことでしょう。

適性検査に出題される能力検査の問題は基礎学力を測るためのものなので、難しい問題はありません。しかしテストの形式に戸惑い回答に時間がかかってしまうと時間が不足したり正答率が落ちたりすることもありえます。

 事前にいくつかの適性検査の進め方を調べておく、問題のレベルを把握しておくなどの準備ができれば、焦らずに試験に臨むこともできます。

回答内容に矛盾があった

性格検査は様々な事例に対して、自分がどう思ったかを選択(はい、いいえ、どちらでもないなど)していく検査です。問題数が多いので1問に時間をかけすぎずに素直に答えていくことが大切です。

性格検査では似たような内容を別の聞き方で数回繰り返して出題されることがあります。自分をよく見せるため相手が気に入りそうな選択肢を探して回答していると、複数の問題の中で矛盾が生じてしまいます。また余計なことを考えていると時間が足りなくなることもあります。

 いつもの自分の判断基準で素直に答え、1問ずつの回答に時間をかけないことが大切です。回答に矛盾が目立つと受験者の本質がつかめません。また回答数が足りなくても同様です。

準備をしておらず満足できる結果が出せなかった

転職対策として、職務経歴書の書き方や面接の対策はしてきたけれど 適性検査については何もしていなかった、というケースも少なくありません。どのような問題が出題されるのか、どのように回答を進めていくのかについて事前説明があるはずです。平常心を失わず冷静に説明を理解することができれば、過度に恐れる必要はありません。

しかし、試験といういつもと異なる環境では想像以上に緊張してしまい実力が発揮できなくなることもあります。

転職にあたってどのような試験が実施されるのかをできるだけ調べておき、適性検査の形式や進め方も把握しておくことをおすすめします。転職希望先の業界事情や相手先の強みや弱みなどを調べておくと、 になることもあります。もちろん、その後の面接にも役立ちます。

適性検査対策を行おう|よく利用される検査とその内容

画像5.png

SPI

最も一般的な適性検査です。言語分野(言葉の意味や関係)と非言語分野(四則演算や確率など)の能力検査と、人柄や適応力などを知る目的の性格検査がセットになっています。 出題範囲が広く、問題数も多いので1問を考えすぎずにできるものをどんどん回答していくのがポイントです。受験の方法は ペーパーテスト、Webテスト、SPIのテストセンターでの受験、転職希望企業での受験と様々な パターンがあります。

多くの企業で利用されているため、関連書籍やWeb サイトも見つけやすいでしょう。

玉手箱

SPIと同様に言語分野と非言語分野からの出題になります。言語分野に長文読解と英語の読解が含まれることが特徴です。回答時間も決まっていますが全体でなく、1問ごとの回答時間が定められています。

試験形式はWebテストです。SPI同様、Webで対策サイトを見つけることができます。

CUBIC

能力検査に特化した適性検査がCUBICです。出題内容は、「言語」「数理」「論理」「図形」「英語」の5分野を組み合わせた設問が出題されます。基礎から応用までいくつかの難易度が存在します。ペーパーテストかWebテストで受験します。

CAB

IT系の職種で利用されることの多い能力検査です。暗算能力が求められる問題や暗号、図形の法則性を解読する問題が出題されます。ペーパーテストかWebテストで受験します。

クレペリン検査

足し算を繰り返し行い、そこから処理能力、性格や行動のパターンを測定する性格検査です。足し算自体は難しくありませんが、時間経過に伴う作業量の変化や正答率を基準値と比較して能力評価を行います。安定した能力が長時間持続できるように試験前には十分な休息をとり、リラックスした状態で臨めるようにしましょう。

テストはペーパーテストかWebテストで行われます。

適性検査あり企業でも敬遠せずに受けてみよう

画像6.png

適性検査を避けると志望先が狭くなる

適性検査は新卒採用時に多くの志望者から適性者を絞り込むために利用されていましたが、終身雇用が当たり前でなくなり転職市場が活発になるにつれ、中途入社試験でも利用される機会が増えてきました。中途入社試験では採用後のミスマッチを防ぐため、そして将来を見据えた人員育成の資料にするために実施されています。

 適性検査で失敗してしまうと次は試験に適性検査のない企業を探したくなるかもしれません。しかし、時代の流れとして中途採用でも適性検査の活用は増えています。適性検査を避けることは転職先の選択を狭くしてしまうことにもなりかねません。

参考書を活用し対策しよう

適性検査には様々な種類があります。それぞれに応じた対策が必要です。先に紹介した方法以外にも新しい検査方法を開発し企業に売り込んでいるケースもあります。適性検査対策といっても全てを網羅するのは無理があります。志望先が実施している適性検査に合わせてWebの記事を元に、出題内容や回答方式などの試験の特徴を把握しておきましょう。多く利用されているSPI検査は参考書も出版されています。

適性検査対策をしても落ちることもある

画像7.png

求められる人物像と合わなかった

適性検査について準備をしていても、次のプロセスに100%進めるとは限りません。中途入社試験の場合、適性検査だけが1次審査となることは少なく、書類選考と適性検査、面接と適性検査のように他の選抜プロセスと同時に実施されることが多くあります。この場合は落ちた理由が適性検査と断言することはできません。面接などと合わせて総合的に求める人物像と合うかどうかが判断されるので、総合的に判断して欲しい人材にマッチしなかったとしかいえません。適性検査の感触や面接でのやりとりを振り返り、次に活かせるものがなかったか自己分析を行いましょう。

回答に嘘を書いた(よく見せようとした)

適性検査で失敗する事例でも紹介しましたが、回答に矛盾がでないように素直に回答することが大切です。この企業が求める人材ならどう答えるべきか? などと考え、普段の自分の行動パターンと 回答をすることはやめましょう。性格検査では同じような設問を言葉を変え何度か問い直します。複数の問題を通して行動パターンに矛盾が生じてないかを把握することができます。矛盾が多い場合、本心でない回答を記入したことが疑われますし、会社としては大切な試験で嘘を記入するような人材を採用しようとは思いません。

 また性格検査は、入社後に社風に馴染んでいけるか、将来的にどのような仕事をまかせられるかなどの参考に使われることがあります。本心と異なる回答で入社できたとしても、実際に働いてみたら想像以上に働きにくい環境だったなどのミスマッチが起きる可能性もあります。

 希望の会社に入社することは重要なことですが、気持ちよく長く働ける職場であることはそれ以上に重要です。

応募者の多い人気求人では足切りラインが高いことも

中途採用の場合はあまりないことですが、採用枠に対して応募者があまりにも多い場合は、適性検査の結果で不合格になる場合もありえます。

適性検査が合否に与える影響度や試験の結果が公開されることはありません。いずれにしてもできることは、どのような適性検査が行われるのかを知り、その適性検査の内容や回答方法について把握しておくことです。

 中途採用がどのようなプロセスで行われるのか調べるにはいくつかのやり方があります。「企業名 採用試験」などキーワードで検索することで内定者の体験談などが見つかるかもしれません。あるいは素直に採用担当者に尋ねてみても良いでしょう。転職エージェントを利用しているなら、アドバイザーが情報を持っているかもしれません。

適性検査がボロボロでも挽回できることも

画像8.png

企業によって適性検査のウェイトは異なる

適性検査は相手先企業の求める人材にどれだけ近いかを見極めるためのツールです。合わせて基礎学力や一般常識を身につけているかどうかを知ることもできます。

人材選別に優れたツールではありますが、100%適性検査の結果だけで判断されることは多くありません。職務経歴書や面接などと組み合わせて使われる選考手段のひとつで、適性検査の結果がボロボロだと悔やんでいても、意外と面接でうまくいくこともありえます。

 ただし、回答に極端に空欄が目立つなど良いも悪いも判断できないような結果だとさすがに影響がないとは言い切れません。そのようなことにならないように、あらかじめどのような試験なのかを把握しておくようにしましょう。

リラックスして試験に臨もう

性格検査でも面接でもできるだけ良い印象を相手に与えたいと思うものです。例えば面接では清潔感のある見た目で臨むことやできる限りハキハキとわかりやすく質問に答えることは大事ですが、誇張した回答など無理に背伸びする必要はありません。面接時には退職理由などの答えにくい質問をされることもありますが、ヘタに格好をつけずに素直な思いを簡潔に伝えることを心がけましょう。

適性検査も同様に失敗のリスクを減らすための対策は必要ですが、相手におもねるような回答を記入する必要はありません。自然な自分をアピールできるように適性検査対策、面接対策を行い、リラックスして本番に臨むことが肝心です。

中途採用ではやや低め?|適性検査のウェイト

新卒採用のように多くの志望者を選別対象としない中途採用では、適性検査の結果だけで不合格ということは多くありません。適性検査の出来栄えが納得できるものでなくても、その後の面接で挽回できるチャンスは残っています。

だからといって適性検査を軽く見るのはよくありません。企業によって合否判断のウェイトも異なりますし、回答数が少なかったり、回答傾向が支離滅裂だったりすると試験への姿勢を疑問視されることもありえます。

 

履歴書や職務経歴書を丁寧に作成するように、適性検査も事前に準備してリラックスして転職活動に臨めるようにしましょう。

筆者プロフィール

コラムニスト
株式会社名大社の顧問コラムニスト

客観的な視点から、有益な転職情報コラムを手掛ける。

コラムニスト

コラムニスト

関連記事

関連記事

名大社転職エージェントについて
転職までの流れ
キャリアアドバイザー紹介