転職で弱み(短所)を答える際のポイントは? 質問の意図や面接での回答例文を紹介
目次
中の人(コラムニスト)
転職で弱みを聞かれる理由
弱みの質問に対する回答を考える前に、なぜ採用担当者が弱みの質問をしてくるのか、その質問意図を正しく理解しておくことが大切です。採用担当者が弱みの質問をする意図としては、主に以下の3つが挙げられます。
自身を客観視できているか確認するため
企業は社内外を取り巻く複数の要因によって様々な課題を抱えています。企業が抱えている課題は顕在化しているものばかりではなく、潜在的な課題も多くあります。潜在的な課題を発見するためには、企業が置かれている状況を客観的に分析することが重要です。また、ステークホルダーを含めた全体最適をかなえる解決策の検討には、偏った主観的な思考ではなく、客観的な思考が必要になります。
採用担当者は、面接において弱みを聞くことで、面接者が客観的な思考ができる人材なのかを確認しています。客観的な事実をもって自身を分析できているのかが重要なポイントです。
課題解決が行えるか確認するため
企業は、単に日常的な業務に対応できるだけではなく、自社が抱えている課題を解決してくれる人材を求めています。前述した通り、企業が抱えている課題は複数の要因が組み合わさったものである場合が多く、明確な正解がわかっていないことも多々あります。そのような課題を解決するためには、問題点を適切に分析し解決策を思考するとともに、解決策を行動に移す実践力が必要です。
採用担当者は、面接者が弱みに対してどのようなアプローチをとったのかを聞くことで、自社の課題を解決してくれる人材なのかを確認しています。ただし、課題解決が行える人材かを確認すると言っても、弱みを完璧に解決していることが求められているわけではありません。企業が抱えている課題においても、複雑なものになるほど、一度のアプローチでは解決できない場合が多いからです。
あくまで採用担当者が見ているのは、課題に対して仮説を立て、仮説を基に解決策を実施、解決策の成果を検証するという課題解決における一連のプロセスが行えているかどうかです。回答を考える際には、課題解決のプロセスにそって行動したエピソードを話せるようにするとより効果的でしょう。
企業風土や役職・ポジションにあった人材か確認するため
企業はそれぞれ独自の企業風土をもっており、どのような人材を求めているのかが異なります。また、募集している役職・ポジションによっても求める人材像は異なります。企業側が求める人材像と面接者にミスマッチがあると、能力が発揮できなかったり、早期離職につながったりと双方にデメリットが生まれるでしょう。
採用担当者は、面接者が自身の弱みをどのように捉えて行動しているのかを確認することで、自社の企業風土や役職・ポジションにあった人材なのかを確認しています。回答を考える前に、企業のホームページや求人票を確認し、どのような人材を求めているのかを把握しておきましょう。
転職において弱みの答え方がなぜ重要なのか
転職において弱みの答え方が重要な理由は2つあります。1点目は、自身の弱みにしっかり向き合い、適切な回答ができる人は多くないことが挙げられます。強みについては、自身が強みだと感じている分、これまで積極的に強みを活かしてきた経験が多く、アピールできるポイントも多いでしょう。しかし、これまで弱みの対策を明確に考えて行動してきたという方は多くありません。強みよりも弱みの答え方で悩む人が多く、答え方で差がうまれるポイントと言えます。
2点目は、企業が求める課題解決の難易度にあります。企業は様々な環境の影響を受けながら活動を行っており、時に解決困難な課題が発生することも少なくありません。その際に重要になるのが、課題から逃げずにしっかりと向き合い、一つずつ問題点に対処していく姿勢です。弱みに対して自身がどのように捉え、向き合ってきたのかを適切に答えられれば、企業が抱える課題に対する取り組み方をアピールすることにつながります。
以上の通り、転職における弱みの質問は、他の応募者との差別化が図りやすいポイントであるとともに、企業が知りたがっている、アピールしやすいポイントです。面接前に、自身の経験を振り返り、弱みの質問にどう答えるかをよく考えておきましょう。
転職でさけるべき弱みの答え方
弱みの質問に対する適切な答え方を解説する前に、さけるべき答え方を紹介します。自分の答え方が、これから紹介する内容になっていないかチェックしてみましょう。
弱みをネガティブに答える
弱みを必要以上にネガティブに伝えないようにしましょう。自身の弱みを人に話す、弱みについて深掘りされることは苦手だという人も多いでしょうが、答え方に自信がないとそれだけでネガティブな印象を与えてしまいます。話す際に声が小さくなっていないか、言い訳がましくなっていないかに注意しましょう。
また、弱みについての考え方がネガティブで、卑屈になってしまうのもマイナス評価です。弱みは誰しももっているものであり、重要なのは弱みがないことではなく、弱みにどのように向き合うかです。弱みは弱みとして受け入れ、前向きに対策をとっていることのアピールが大切です。
嘘をつく
マイナスなイメージを与えないために嘘をつくのはやめましょう。弱みというものは、人によって程度の差はあれど、誰にでもあるものです。弱みを隠そうとして、弱みはないと回答しても、かえって自身を客観視できていないと捉えられてしまいます。また、プラスのイメージを与えようとして、嘘の話を作りあげても、話を深掘りされた時にボロが出てしまいます。
嘘をついていることが採用担当者に伝われば、面接結果に大きなマイナス影響がでてしまいます。また、例え採用されたとしても、その後のコミュニケーションに不信感がうまれ、円滑なコミュニケーションが取れなくなってしまうでしょう。面接においては、その場の合否だけでなく、入社後に採用担当者と一緒に働くことになった場合のイメージをもつことが重要です。その場しのぎの嘘をつかず、お互いの信頼関係を構築できるよう、誠実に回答しましょう。
仕事とは関係のない弱みを答える
仕事には結びつかないものを自身の弱みとして回答するのはやめましょう。高所恐怖症、お金遣いが荒いなど仕事と関係のない弱みを答えても、面接担当者は求めているポジションにあう人材なのかが判断できません。むしろ質問の意図が汲み取れていないとマイナスに評価される可能性もあります。答える弱みは仕事と結びつけられるものを選ぶようにしましょう。
ただし、例えば高所作業がある職種への転職である場合の高所恐怖症など、仕事に結びつけられる弱みであれば問題ありません。むしろ弱みによって仕事の幅が制限される場合には、事前に採用担当者に伝えておくのが適切でしょう。しかし、後述するような仕事において致命的な弱みの回答はさける、もしくは別職種への転職を検討したほうが良いでしょう。
致命的な弱みを答える
仕事において致命的な弱みを答えるのはやめましょう。例えば、経理など金銭を扱う職種で金遣いが荒い、困難があるとすぐに投げ出すといった対策がたてられないような弱みです。これらの弱みは、前向きに捉えることができず、対策を立てるのも困難であるためさけるべきです。弱みはあくまでも前向きに捉えることができ、対策がたてられるものを考えるようにしましょう。
企業が求める人材像と真逆の弱みを答える
企業が求める人材像と真逆の弱みを答えることは、採用においてマイナス影響を与える可能性が高いため、やめましょう。多くの企業のホームページや求人票には、企業が求める人材像が載せられています。企業がチームワークを重視する協調性の高い人材を求めているのに、自己中心的であるなど、求める人材像と真逆の弱みを答えるとマイナスな評価となる可能性が高くなります。
ただし、弱みをくつがえすような実績やエピソードがあれば別です。もともとは自己中心的であったが、ある出来事をきっかけにチームワークを重視するようになったなど、結果として企業が求める人材像と一致する回答は大きなアピールポイントになります。答える弱みは、企業の求める人材像と自身の経験を照らし合わせて決めるようにしましょう。
弱みを見つける自己分析の方法
面接での回答に適切な弱みを考えようとしても、どうやって自己分析を行えば良いかわからないという方も多いでしょう。ここでは弱みを見つけるための自己分析の方法を紹介します。
自分が考える弱みを書き出す
まずは自分が考える弱みをノートなどに書き出してみましょう。ポイントは、書き出す段階では細かいことを意識せず、とにかく数をだすことです。頭の中だけで考えていると、思いついた弱みに対してあれこれと考えてしまい、思うように弱みの洗い出し が進まなくなってしまいます。
どの弱みを使って回答を作るかは後で考えれば良いことです。まずは選択肢を多くしておき、後から絞り込みができるようにしましょう。選択肢を多くしておけば、それぞれの企業にあわせた弱みの回答を作りやすくなる点でもおすすめです。
過去の失敗を振り返る
過去の自分の失敗を振り返り、どのような部分が悪かったのかを考えることも有効です。振り返る際のポイントは、一つ一つの失敗を点で見るのではなく、失敗した経験の共通項を探してみることです。失敗した経験をまとめて振り返っていくと、原因に共通項が見つかる場合が多くあります。共通項を探していくと、自分が今まで認識していなかった弱みが含まれていることもあるでしょう。
過去の失敗を振り返って弱みを探す大きなメリットは、弱みを回答する際に具体的なエピソードとして伝えられる点です。失敗をした後にどのような行動をとったのかを整理しておけば、弱みに対してどのようなアプローチを行ったかをまとめやすくなります。具体的なエピソードを使った回答は、信憑性の高い情報として相手に印象づけることができるため、積極的に活用すると良いでしょう。
家族や友人に短所を聞いてみる
家族や友人に自分の短所を聞いてみるのも弱みの発見に役立ちます。家族や友人からヒアリングした自分の短所は、自分を客観視した情報になります。弱みを回答する際にも、第三者からの情報である旨を伝えておけば、客観的な事実に基づく回答なのだと印象づけることができるでしょう。自分の短所とあわせて、長所や短所に対する改善点などについても意見をもらうようにすれば、これからのアクションプランの話がしやすくなります。
弱みを強みに変える回答文の作り方
自己分析を行って洗い出した自分の弱みを、強みに変えて回答する方法を解説します。本項目を参考に、自分だけの回答文を作成してみましょう。
弱みを強みに置き換えてみる
弱みと強みは表裏一体であり、弱みを強みに置き換えることができます。例えば優柔不断な人であれば、複数の選択肢を前に決断が遅くなってしまうのが弱みである一方で、視野を狭めず複数の選択肢を考慮できる点は強みだと言えるでしょう。
弱みの原因を補う対策をとりつつ、強みを活かす工夫を行っている回答ができれば、より効果的なアピールになります。弱みを置き換えた強みは話の整合性をとりやすく、第三者に対しても納得感のある回答になりやすいため、弱みの回答を作る際は、回答のなかに強みをアピールできる文章を入れておくと良いでしょう。具体的な回答文の例は後ほど「転職での弱みの回答例文」で紹介します。
弱みに対する工夫を言語化する
弱みに対して行っている工夫を言語化してみましょう。普段何気なく行っていることを振り返り、言語化すると効果的な回答がしやすくなります。例えば、普段物忘れが多い人が、目につきやすい場所に必要な物を置いておく、というのも弱みに対する工夫の一つです。日常生活で習慣化していると、自分が行っている工夫が意識から外れている場合が多いため、改めて振り返って言語化すると良いでしょう。
具体的なエピソードを交える
回答の際に、具体的なエピソードを交えた話ができるとより効果的なアピールができます。弱みに加えて、弱みが原因で発生したトラブルを振り返り、トラブルにどのように対処し、反省点をふまえてどのような対策を行ったかを整理するのがおすすめです。トライアンドエラーで弱みに対して向き合っている姿をアピールできれば、採用担当者に良い印象を与えられるでしょう。
転職での弱みの回答例文
弱みの回答を作るポイントは理解したが、具体的なイメージがいまいちつかめないという方もいらっしゃるでしょう。ここでは、弱みの回答例文を紹介します。
弱みが心配性である場合
「私の弱みは、心配性であるために、何事にも慎重になりすぎてしまうことです。事前に入念な調査を行うため、大きな失敗をしない点は強みであるとも言えますが、初動が遅くなってしまう点は弱みであると考えています。
実際に、上司からプレゼンテーション資料の作成を依頼され、資料作成に時間がかかりすぎてしまい、遅いと指摘されることがありました。この反省をふまえて、最初からあれこれ考えるのではなく、大枠ができた時点で相談を行い、資料のレベル感を調整するようにしています。」
こちらの回答例文では、心配性が弱みとしつつも慎重という言葉で強みに変換し、入念な調査で大きな失敗をしないという強みをアピールできています。心配性であることが業務においてどのような影響があると考えているのかを述べたうえで、具体的なエピソードと対策を回答しています。
弱みが心配性である場合は、慎重さや丁寧さ、正確性などの強みに変換するのがおすすめです。ただし、企業がスピード感を重視している場合はマイナスな印象を与える可能性があるため注意しましょう。
弱みが口下手である場合
「私は口下手で、自分が思ったことを説明しても、相手にうまく伝わらない場合があります。社内でプレゼンテーションを行うと、話がわかりにくいと言われることが多くありました。それ以来、プレゼンテーションなどを行う前に、自分で考えた文章を他の方に見てもらい、フィードバックを受けて改善するようにしています。
最近では、周りの方から、以前よりずっと話がわかりやすくなったと言っていただけるようになりました。フィードバックをしてもらう際にチームメンバーとコミュニケーションをとっているため、社内での業務も以前より円滑に行えるようになりました。」
こちらの例文は、第三者からのフィードバックを積極的に盛り込み、より客観性の高い回答になっています。弱みを認識して対策を行った結果、改善に成功している状況をアピールできているため、採用担当者からも評価されやすいでしょう。また、口下手という弱みから懸念されるコミュニケーション不足についても、業務を通して円滑なコミュニケーションがとれていることをアピールできています。
口下手が弱みである場合は、強みとして聞き上手・協調性をアピールするのもおすすめです。チームワークを重視する企業である場合は特に、コミュニケーションがとれないと思われないよう必ずフォローを入れた回答を作成するようにしましょう。
弱みが飽き性である場合
「私は様々な物事に興味を持ちやすく、同時に手をつけてしまうために、一つの物事に継続して取り組むことが苦手です。一つの物事に継続して取り組めない原因は、同じ物事をし続けることに抵抗があるためです。そのため、現在では、単純に同じ物事をし続けるのではなく、どうすれば今と違う、より良い取り組み方ができるかを考え、アクションを起こすようにしています。
また、様々な物事に興味をもてる強みを活かし、部署を越えた複数の業務を任せていただいています。様々な事業を展開している御社でも、幅広い業務を担当できるよう取り組んでいきたいと考えています。」
こちらの回答例文では、飽き性という性格の弱みを別の言葉に置き換えて回答しています。飽き性という言葉をそのまま使うとマイナスに捉えられてしまう可能性が高いため、上手に言葉を変えて回答を作成すると良いでしょう。また、弱みを強みに言い換え、企業の特徴をふまえてどのような貢献ができるかを伝えることも効果的です。
飽き性が弱みである場合は、好奇心旺盛・多動を強みに置き換えるのがおすすめです。ただし、定型的な業務が多く一つ一つの作業に集中して取り組む必要がある職種の場合は、飽き性を弱みとして伝えないほうが無難でしょう。
転職で弱みを答える際のポイント
転職で弱みを答える際のポイントを解説します。これから解説する点をふまえて回答を作成するようにしましょう。
弱みを簡潔に答える
弱みは簡潔に答えるようにしましょう。弱みを答える際、弱みを取り繕うように話し、ダラダラと長い回答になってしまう人は多くいます。致命的な弱みは別として、採用担当者が重視するポイントは弱みの内容よりも弱みに対する工夫です。弱みは冒頭で簡潔に答え、弱みに対する工夫に重点を置いて話すようにしましょう。
話を誇張しすぎない
弱みに関連するエピソードを誇張しないよう注意しましょう。採用担当者は、面接者が弱みを客観的に把握し、解決策を検討、実践する能力があるかを見ています。弱みに対する工夫をアピールしようとして話を誇張する必要はありません。例え些細なことでも、しっかり弱みに向き合っている姿勢をアピールできれば、採用担当者に好印象を与えられます。
良い評価を得ようとして話を誇張すると、話を深掘りされた時にボロがでかねません。「転職でさけるべき弱みの答え方」でも解説した通り、嘘をついて回答することはさけるべきです。話は誇張せず、誠実に回答するようにしましょう。
企業にあわせて回答を変える
企業によって求める人材は様々です。企業が求める人材像にあわせて弱みの回答を変えられるようにしておくと、各企業に最適化された回答ができ、複数企業の面接を突破しやすくなるでしょう。転職の面接においては、回答する内容ももちろん大事ですが、より大事なのは回答の仕方です。
面接を突破できず自信がなくなると、声が小さくなったり必要以上にへりくだってしまったりと、面接を突破しにくくなる負のループに入ってしまいます。一社でも内定をもらえれば自信がつき、その後の転職活動を有利に進められるため、多少の時間がかかっても企業にあわせた回答を作成しておくと良いでしょう。
自分の弱みを強みに変えて転職面接を突破しよう
転職の面接において、弱みの答え方は非常に重要です。弱みの質問に対して適切な答え方ができる応募者は少なく、適切な回答ができれば内定獲得に大きく近づくでしょう。弱みの回答を作成する際は、自分の弱みを強みへと変換しつつ、エピソードを交えて弱みの対策や強みの活用を行っていることをアピールできるようにしておくのがおすすめです。
本記事で解説した、採用担当者が弱みの質問を行う意図や回答の作成方法、回答例文をふまえ、自分の弱みを強みに変える回答文を作成してみましょう。しかし、いざ自分で自己分析や回答文の作成を行おうとしても、思うように進まないという方はいらっしゃるでしょう。そういった場合は、転職エージェントを利用するのがおすすめです。
転職エージェントの転職支援サービスであれば、履歴書・職務経歴書の書き方やスキル・専門性のアピール方法、自己PRの作成方法や面接対策、キャリアをふまえた転職先の提案など転職における様々な準備をサポートしてくれます。転職活動におけるノウハウを得られるため、積極的に活用すると良いでしょう。
転職時の面接で定番となりつつある自身の弱みに関する質問、自分のあら探しをされているようで苦手という方も多いのではないでしょうか。しかし、企業側の担当者も面接者の欠点を探しマイナス評価をつけたいというわけではありません。弱みという一見マイナスに見える要素も、適切に回答することでプラスの評価を得ることができます。
本記事では、転職で弱み・強みを答える際のポイントや質問の意図、具体的な回答例を解説します。本記事を参考に、ご自身の回答の仕方を考えてみてください。