転職に役立つメールの返信マナーとは? 書き方のポイントや例文をご紹介
コラムニスト
転職活動でメールを返信するシーンとは
転職活動では、電話やメール、書面などで企業や転職エージェントと連絡を取り合うことが多くなります。なかでもメールでのやり取りが一般的です。特に面接の日程調整の連絡は、企業が提示した面接の日程と合わない場合、メールのやり取りを頻繁に行うでしょう。
その他、面接後のお礼や内定の承諾・辞退などさまざまなシーンでメールの返信が不可欠になります。面接と同様に、メールの返信マナーも転職活動には大切です。メールのやり取りから転職活動は始まっています。転職を成功させるためにもメールの正しい返信マナーやノウハウを知っておきましょう。
転職活動でのメール返信の基本マナー
転職活動で必要なメールの返信のポイントには次のようなものがあります。
メールの返信はできるだけ早く
メールを返信する時間帯
本文や件名は残したままで返信する
正しい敬語を使う
それぞれについて詳しく解説します。
メールの返信はできるだけ早く
企業からメールが来たときには、できるだけ早く返信するようにしましょう。メールを確認後、すぐに返信するのがベストですが、メールの確認が遅れた場合には遅くても24時間以内に返信するとよいでしょう。
メールを確認したものの、仕事中や外出中などですぐに返信できない場合や日程の調整が必要な場合は、取り急ぎの返信メールを送ります。すぐに回答できないことをお詫びしたうえで、「〇〇日(〇時)までには返信します」など、いつきちんとした返信ができるのかを明記して、後刻、マナーにそった丁寧な返信メールを送りましょう。
ただし 、メールを確認するのが遅れてしまった際に「取り急ぎ」では相手側に失礼にあたります。転職活動中はできるだけこまめにメールをチェックする習慣をつけて、確認が遅れることのないようにしましょう。
メールを返信する時間帯
メールの返信はできるだけ早く行いたいものですが、返信する時間帯に注意しましょう。職種にかかわらず、深夜や早朝などの時間帯を避け、企業の就業時間内(平日の昼間など)に返信しましょう。
担当者によっては会社のメールを就業時間外でも受け取れるよう、転送や通知の設定をしていることがあります。その場合、深夜や早朝にメールを返信してしまうと相手の迷惑になり、あまり印象がよくありません。相手側の事情を十分に考慮して、就業時間内で、すぐに確認してもらえる時間帯に返信するようにしましょう。
例えば、企業からのメールに気付いたのが、土日祝日など就業時間外だった場合は、翌営業日の午前中に返信します。自分の仕事の都合などで就業時間内にメールを返信するのが難しい場合は、本文だけでも作成して、すぐに返信できる状態にしておくとよいでしょう。または、メールの送信予約や時間指定機能などを活用すると、返信忘れを防げます。
本文や件名は残したままで返信する
返信メールを送るときは、相手から送られてきたメールをそのまま残した引用返信を行います。件名の「Re:面接について」なども編集したり削除したりせずに、そのまま返信しましょう。
採用担当者は1日に何通も同じようなメールを受け取ります。件名や本文を残して返信すれば、誰から、どのような用件でメールが送られてきたのかが分かりやすくなります。また、メールのやり取りが複数回におよんだ場合も、引用返信ならこれまでの経緯がそのメールを見れば分かります。採用担当者と転職希望者双方の認識違いを防ぐためにも、引用返信は基本ルールとして覚えておきましょう。
会社のメールアドレスは使用しない
働きながら転職活動をしている人が多く間違いがちなのが、現在の会社のメールアドレスで転職に関連するメールのやり取りをしてしまうことです。転職活動で使うメールアドレスは、会社のアドレス以外のものを使用しましょう。会社のメールアドレスを使うと次のようなリスクがあります。
公私混同するいい加減な人と企業側に思われてしまう
就業時間内に職務と関係のないメールを送る人と思われてしまう
現在の会社の上司や同僚に転職活動をしていることがバレてしまう
いずれもせっかくの転職活動に支障をきたしてしまう可能性があるため、注意しましょう。個人のメールアドレスでも記号や顔文字などが入ったものは、ビジネスメールにはふさわしくありません。転職活動専用のアドレスを作っておくとよいでしょう。
正しい敬語を使う
メールにおいて正しい敬語を使うことは、ビジネスパーソンとして基本的なことです。また、好印象を残そうとするあまり、必要以上に丁寧になりすぎて「お」や「ご」をほとんどの言葉の前につけるのも注意しましょう。文末に「させていただきます」を連発するのもNGです。
間違えやすい語句には次のようなものがあります。
御社⇒貴社
了解しました⇒ 承知しました かしこまりました
よろしかったでしょうか⇒ よろしいでしょうか
行きます⇒ 伺います
見ました⇒ 拝見しました
とりあえず⇒ 取り急ぎ
貴社は書き言葉になるため、面接では「御社」というようにしましょう。
転職での返信メールの例
転職活動で返信するメールの構成は、内容にかかわらず次のようなものです。
宛先
あいさつ
本文
締めのあいさつ
署名
それぞれについて詳しく解説します。
宛先
本文に入る前に必ず宛先を記述します。会社名・部署名・担当者名の順に書きます。会社名は「(株)〇〇」とは略さず「株式会社 〇〇」と正式名称を記載しましょう。担当者の氏名が不明な場合は「採用ご担当者様」とします。
会社名だけの場合は、最後に「御中」ですが、担当者の氏名が入る場合は担当者名の後に「様」をつけます。
〇〇株式会社 御中
または
〇〇株式会社
人事部 〇〇様
となります。「様」と「御中」の間違いや重複には気をつけましょう。
あいさつ
初めてメールを送るときは「お世話になります」とあいさつを入れます。2回目以降からは「お世話になっております」に変更しましょう。そのあと、自分の名前(フルネーム)を名乗ります。「△△株式会社の〇〇 〇〇です」のように、現在の会社名を名乗らないようにしましょう。
「貴社の中途採用に応募している〇〇 〇〇です」や「一次面接のご連絡をいただいた〇〇 〇〇です」などがよいでしょう。
本文
本文は分かりやすく、簡潔にまとめるのがよいでしょう。さきにご紹介した敬語の使い方に気をつけ、用件を伝えます。長文になってしまう場合は、適宜改行や段落を使って相手がパソコンでもスマートフォンでも読みやすい文面を心がけましょう。
本文では大事なところを強調するために太字にしたり、文字装飾したりする必要はありません。
締めのあいさつ
締めのあいさつも忘れずに入れましょう。メールの内容によって多少変わりますが、お忙しい中、メールを読んでくれたことへの感謝を伝えます。
署名
最後に氏名・郵便番号・住所・電話番号・メールアドレスなどを記載した署名を入れましょう。「―」や「=」などの記号で区切ると読みやすくなります。「署名 テンプレート」で検索すれば、さまざまな署名のスタイルが出てきますが、華美な装飾のあるものは避けましょう。ビジネスメールにふさわしい、シンプルなデザインを選ぶとよいでしょう。
またメールアドレスと同様に、現在の会社名を署名に入れないよう注意しましょう。
面接日程調整の返信メール例文
転職活動でのメールのやり取りで最も多いのが、面接の日程調整の連絡です。面接日の日程調整の返信メールの例文と注意したいポイントをシチュエーション別にご紹介します。
提示された面接日を承諾する場合
〇〇株式会社
人事部 〇〇様
お世話になっております。
〇〇 〇〇(氏名)と申します。
この度は面接日程のご連絡をいただき、誠にありがとうございました。
下記の日程で履歴書や職務経歴書などの応募書類を持参のうえ、貴社に伺います。
◎月◎日 ◎時~◎時
当日は、よろしくお願いいたします。
企業側が提示した面接日に承諾する場合の返信メールはいたってシンプルです。まずは面接日を設定してくれたことへのお礼を述べましょう。また念のため、提示された日時を返信メールにも記載するとお互いの確認にもなります。持ち物や面接会場などへの質問や不明点があれば、このとき一緒に記載しておくとよいでしょう。
複数の面接日を提示された場合
〇〇株式会社
人事部 〇〇様
お世話になっております。
〇〇 〇〇(氏名)と申します。
この度は面接日程のご連絡をいただき、誠にありがとうございました。
ご提示いただいた面接日程の中から、下記でお伺いしてもよろしいでしょうか。
◎月◎日 ◎時~◎時
ご多用のところ、お時間をいただきありがとうございます。
何卒、よろしくお願いいたします。
複数の面接日を提示された場合も、時間を設けてくれたことへのお礼を述べましょう。提示された候補日の中から都合のつく日程を選び、返信メールに記載します。企業側から「第3希望まで」など条件が出された場合は、指示にしたがって可能な限り候補日を調整しましょう。
提示された面接日の都合が悪い場合
〇〇株式会社
人事部 〇〇様
お世話になっております。
〇〇 〇〇(氏名)と申します。
この度はお忙しい中、面接日程のご連絡をいただき、誠にありがとうございました。
ただご提示いただいた日程では貴社にお伺いするのが難しい状況です。
よろしければ、下記の日程で面接日を変更していただけないでしょうか。
・◎月◎日 ◎時~◎時
・◎月◎日 ◎時~◎時
・◎月◎日 ◎時~◎時
勝手なお願いで誠に申し訳ございません。
ご多用のところ恐縮ですが、ご検討をお願いいたします。
企業側から面接日の連絡があったものの、こちらの都合で日程を調整してもらいたい場合は、電話で直接担当者に連絡するのがベストです。担当者が不在だった場合は、メールで取り急ぎ連絡を入れます。その際には、相手が日程調整しやすいように、少なくとも第3希望までの候補日を提示しましょう。時間帯も「〇日の午後」など、できるだけ幅を持たせておくと相手の都合もつきやすくなります。
冒頭かまたは締めの部分に再調整してもらうことへのお詫びを必ず入れるようにしましょう。こちらの都合については詳しく伝えなくてもよいでしょう。
面接の候補日をこちらから提示する場合
〇〇株式会社
人事部 〇〇様
お世話になっております。
〇〇 〇〇(氏名)と申します。
この度は面接日程のご連絡をいただき、誠にありがとうございました。
面接の希望日程をお送りいたします。
下記の日程で面接日を調整いただけると幸いです。
第一希望:◎月◎日 ◎時~◎時
第二希望:◎月◎日 ◎時~◎時
第三希望:◎月◎日 ◎時~◎時
お忙しい中恐縮ですが、ご検討のほどお願いいたします。
企業側がこちらに面接の日程を任せてくれた場合、候補日は1つにしぼらず、先方の都合に合わせやすいように3つほど提示しましょう。企業側が候補日のどれかを選んでくれた後は、お礼と確認のために承諾の返信メールを送ります。
決定していた面接日の変更を依頼する場合
〇〇株式会社
人事部 〇〇様
お世話になっております。
〇〇 〇〇(氏名)と申します。
先日お約束していた◎月◎日の面接日では貴社に伺うことが難しい状況です。
日程を調整いただいていたにもかかわらず、こちらの都合で大変申し訳ございません。
つきましては下記の日程で再度面接日を調整いただくことは可能でしょうか。
・◎月◎日 ◎時~◎時
・◎月◎日 ◎時~◎時
・◎月◎日 ◎時~◎時
お手数をおかけいたしますが、ご検討をお願いいたします。
一度決まっていた面接日をこちらの都合で再調整してもらうときには、まずはお詫びをしましょう。提示された面接日の都合が悪いときと同様に、まずは電話で連絡するほうが好印象です。そのうえで、改めて再調整してもらえそうな候補日を3つほどあげて検討してもらいます。
面接日程の再調整をしてもらった後にはメールと面接当日に一言、お礼を述べるようにしましょう。
書類をメールに添付する場合
〇〇株式会社
人事部 〇〇様
お世話になっております。
〇〇 〇〇(氏名)と申します。
面接日のご連絡の際にご依頼いただいた履歴書と職務経歴書を
こちらのメールに添付してお送りいたします。
ご査収の程、よろしくお願い申し上げます。
転職活動では履歴書や職務経歴書などの書類を事前に送ることが多くなります。メールに添付ファイルとして送る場合は、ファイル名を「〇〇(氏名)履歴書」など分かりやすいものに変更しておきましょう。ファイル容量は2MB以下 が一般的な目安です。手書きの履歴書をスキャンしてデータ化した場合、容量が大きくなりすぎることがあるので事前に確認が必要です。
ファイル形式は企業側から指定がない場合は、データ改ざんができないPDF ファイルにして送るとよいでしょう。また、意外とファイルの添付を忘れることも多いため注意したいところです。
面接を辞退する場合
〇〇株式会社
人事部 〇〇様
お世話になっております。
◎月◎日◎時より面接のお約束をしている〇〇 〇〇(氏名)です。
誠に申し訳ございませんが、一身上の都合(または諸般の事情)により、
面接を辞退させていただきたく、ご連絡を差し上げました。
〇〇様には大変お忙しい中、面接の日程を調整していただき、お手数をおかけしたにも関わらず、大変申し訳ございません。
メールにて面接辞退のご連絡となったことも重ねてお詫びいたします。
末筆ながら貴社の益々のご発展とご活躍をお祈り申し上げます。
転職活動ではさまざまな理由で面接を辞退することもあります。面接を辞退すると決まった時点でできるだけ早く、企業側に連絡をしましょう。辞退の理由は詳しく説明する必要はないものの、きちんとお詫びをしましょう。
転職先ではなくなった後もビジネスパーソンとしてのマナーは必要です。最後にメールでの連絡となったことへのお詫びと結びの言葉をきちんと入れましょう。
面接後のメール例文
無事面接を終えた後もお礼や内定の承諾・辞退などメールを送る機会は数多くあります。それぞれのシチュエーションごとのメールの例文とポイントをご紹介します。
面接のお礼メール
〇〇株式会社
人事部 〇〇様
お世話になっております。
本日(または先日)◎時より面接をしていただいた〇〇 〇〇(氏名)と申します。
本日はお忙しい中、貴社ならびに〇〇様の貴重なお時間を頂戴し、誠にありがとうございました。
〇〇様の丁寧なお話を伺ったことで、△△や△△△などへの理解が深まり多くの学びを得て、より一層、貴社で働きたいという思いが強まりました。
まずは面接のお礼を申し上げたく、メールを送らせていただきました。
末筆ながら、貴社の益々のご発展とご健勝を心よりお祈り申し上げます。
面接に対するお礼のメールは、面接日当日か遅くても翌日には送るようにしましょう。本文には面接で聞いた企業の理念や魅力、強みなどを盛り込み、ポジティブな感想とともに記載すると印象がよくなります。企業で働くことの意気込みを盛り込むのもよいでしょう。
内定承諾のメール
〇〇株式会社
人事部 〇〇様
お世話になっております。
〇〇 〇〇(氏名)と申します。
この度は貴社から内定の通知をいただき、誠にありがとうございます。
心より感謝申し上げるとともに、謹んでお受けいたします。
入社後は~
引き続きよろしくお願いいたします。
企業から内定の通知メールが届いたら、できるだけ早く内定承諾のメールを送りましょう。連絡が遅くなると「内定辞退」とみなされてしまうことがあるためです。本文には入社が決まったときの意気込みを盛り込みます。「1日でも早く貴社の戦力となれるよう、まい進いたします」や「これまでの経験を活かしつつ、貴社に貢献できるよう精進いたします」など意欲的な言葉がよいでしょう。
内定保留のメール
〇〇株式会社
人事部 〇〇様
お世話になっております。
先日、貴社から内定をいただいた〇〇 〇〇(氏名)と申します。
この度は採用の通知をいただき、誠にありがとうございます。
恐れ入りますが◎月◎日まで返答のご猶予を頂戴することは可能でしょうか。
本来であれば早速、入社承諾のお返事をさせていただくところを
私の都合でお待たせすることになり、大変申し訳ございません。
ご迷惑をおかけいたしますが、ご検討いただけますようお願い申し上げます。
転職活動では複数の会社を受けたり退職までに時間がかかったりして、内定が出てもすぐに承諾できないことがあります。その場合は、速やかに内定保留の連絡をしましょう。あくまでこちらの都合のため、時間的猶予をもらえるかどうかを疑問形で書くとよいでしょう。猶予期間はできれば2~3日、長くても1週間を目安にして、メールに期日を明記します。
企業によっては猶予期間がなく、内定が取り消しになる場合もあるため、慎重に検討しましょう。
内定辞退のメール
〇〇株式会社
人事部 〇〇様
お世話になっております。
先日、貴社から内定をいただいた〇〇 〇〇(氏名)と申します。
この度は採用の通知をいただき、誠にありがとうございます。
大変ありがたいお知らせをいただきながら誠に恐れ入りますが、
自分の適正などを鑑み、この度の内定を辞退させていただきたく、ご報告申し上げます。
書類選考や面接などで貴重なお時間を頂戴したにもかかわらず、
このようなご連絡となり大変申し訳ございません。
面接をご担当いただいた〇〇様をはじめ、貴社の皆様にはお世話になり、
心より感謝申し上げます。
末筆ながら、貴社の益々のご発展とご健勝を心よりお祈り申し上げます。
内定を辞退するときも、できるだけ早く企業に連絡を入れましょう。内定を辞退する理由は、人によって異なりますが、明確な理由を書く必要はありません。しかし、時間や労力を使ってくれた企業側に対して、社会人としての誠意を示せるような文面を心がけましょう。
お詫びと感謝の言葉を丁寧に述べて、結びの言葉を入れます。
メールの返信で好印象を与えて転職を成功させよう!
転職活動で必要なメールの返信マナーを例文付きでご紹介しました。転職活動が初めての人は、メールの返信から戸惑われることも多いでしょう。しかし、基本的なマナーやポイントをおさえて、丁寧かつ誠実なメールを送れば、企業側に好印象を与えられます。
求人サイトなどを見て直接企業とやり取りするのが不安な人は転職エージェントに依頼するのもよいでしょう。面接の日程調整や面接の方法などをレクチャーしてくれる手厚いサービスを提供している転職エージェントを選びましょう。
転職活動を行ううえで企業や転職エージェントとのメールのやり取りは非常に重要です。面接と同様に、メールの返信マナーでその人の印象が決まる可能性があります。
社会人としてビジネスメールを送ることに慣れている人でも、意外と基本的なマナーを忘れがちになってしまうこともあるでしょう。そこでこの記事では、転職活動に役立つメールの返信マナーをシーンごとの例文付きでご紹介します。