あなたの「市場価値」 ー1分で読めるニシダの仕事哲学⑲ー
ニシダチカ
企業のオファーで市場価値を本当に見極められるのか?
「自分の市場価値を知りましょう」
こんな言葉を、TVCM等で目にする機会があります。「社会で経験を積んだ自分の価値を知りたい」「市場価値に見合う転職がしたい」。そう考えるのは、転職者なら当たり前でしょう。
ただ、「自分の市場価値を知りましょう」と謳うサービスを使うことで、本当に自分の価値を知ることができるのか。正直、必ずしもそうではないと感じています。
例えば、「あなたの価値に合う企業と出会えます」という転職サイトに登録して、いくつもの企業からオファーが来たとしましょう。条件はさまざまでしょうが、声をかけられて「評価してもらえた」と嬉しくなる。オファーの内容を見て、自分の価値がどのくらいか見定める。納得できる条件の企業を選んで、めでたし、めでたし。
転職者にとって悪いプロセスとは言いませんが、一度立ち止まって考えてみてください。このやり方で、あなたの市場価値を測れていると思いますか?
有名な企業から好条件のオファーをもらえた。それはたしかに、市場価値の指標のひとつになるかもしれません。けれど、企業はあくまでも、人材を必要としていて、自社の基準を満たす経歴の人を探しているだけ。そうして出されたオファーで、あなたの市場価値を見極めることはできないでしょう。
市場価値を決めるのはあなた自身。
「市場価値」は、オファーを待っているだけでは測れないと考えています。企業が、あなたの自慢の能力や経験をチェックしてくれるとは限りません。正当に評価してほしいなら、能動的に動いて、考えて、価値を自分で言葉にしてください。ひとりで難しいなら、周りの人やエージェントに相談したっていい。なにができるか、どんな実績を残してきたか。壁打ちする中で、次のキャリアで活かすべき真の価値が見えてくるはずです。送られてきたラブレターに応えているだけで、自分を見誤ってはもったいない。「市場価値」とは、きちんと自分と向き合ってこそ分かるものです。
「ニシダの仕事哲学」では、10年以上人材業界の中で、様々な求職者と出会ってきたニシダが考える「仕事にまつわるアレコレ」をお話しします。あなたのこれからを考えるヒントにどうぞ。今回のテーマは、転職者の「市場価値」。近頃の転職市場について、私が気になっていることも伝えさせてください。