「手に職をつけたいからIT業界へ転職」はキケンかも

「手に職をつけたい」

一般的には、「専門性の高いスキルを持っている」や「特定の資格が必要な仕事に就ける」といった意味でとられる言葉だと思います。転職の理由として「次は手に職をつけたい」と語る人も少なくありません。でも、よく耳にする、よく口にする言葉だからこそ、改めてこの言葉の意味を問い直してもらいたんです。安易な手に職をつけたい転職には、落とし穴があるかも。

【POINT】IT業界に転職して手に職つけるのは容易ではない

「これからの時代、プログラミングとかできると、将来の選択肢も広がると思って。次はIT業界で手に職をつけたいんです」

最近、こうしたご相談をよくいただきます。営業職や公務員からIT業界への転職を考える方が多い印象です。その理由の八割方が「手に職をつけたい」といっても大げさではないでしょう。

ただ、この希望を叶えるのは実は簡単ではありません。IT業界の転職採用では、「開発実務経験3年」程度の実績が求められることが多い。「これから知識やスキルを身につけたい」「パソコンを触るのが好き」「職業訓練校で勉強してきた」という経験だけでは、残念ながら採用試験の門戸すら開かれていない企業がほとんどです。仮にIT業界へ転職できたとしても、開発のような高度な仕事を任せてもらえるには道は遠く、イメージしていた「手に職をつける」とは程遠い現実につまずいてしまう人もいます。

決して、「IT業界への転職は無理」とお伝えしたいわけではないんです。でも「手に職をつけたい」という理由で飛び込むには困難な道だと知り、考えてもらいたい。せっかく転職するのに、自分のイメージとのミスマッチが起きてはもったいないですよね。

【POINT】「今、手に職がない」は本当?

そもそも、「手に職をつけたい」のはなぜでしょう。そう考える裏側には、

「今の仕事では専門的なスキルが身につけられなかったから、次は手に職をつけたい」

という、現状の自分の能力への不安があるのでは。もしそうだとしたら、まずはその考えを疑ってみてほしい。

ITなど理系の専門スキルや試験を受けて取得した資格だけを「手に職」と考える人もいますが、決してそうではありません。営業職、事務職などで積んできた経験だって立派な「手に職」です。営業にも事務にも、一朝一夕では身につけられない専門的なノウハウがあります。

仕事を通してどんな力を身につけ、磨いてきたのか。

その力を生かして、どういう行動を起こしてきたのか。

前職での日々を振り返ってみると、あなたの手にも確かな経験と能力があることに気付けるはず。「自分にはなにもない」と無理な方向転換を目指しては、それこそ今までの時間を無駄にしてしまいます。今の自分に自信をもった上で、次のステップをどう踏み出すか考えてみてくださいね。

筆者プロフィール

クロさん、
株式会社名大社
キャリアアドバイザー
 
愛知県出身愛知県在住
東京のIT系技術商社で、文系出身ながら営業職として奮闘。その後、愛知へUターンして名大社に入社。
冷静沈着に筋の通ったアドバイスを重んじるキャリアアドバイザー。

クロさん

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